大学編入のための線形代数について
高専生と線形代数
高専生の皆さん、「線形」、「線形代数」という言葉の意味を知ってますか?
「線形」という字は、「線型」の簡略化バージョンです。つまり、「線のカタチ」ではなくて「線のモデル」です。
「線形代数」とは、単にベクトルや行列を扱う分野ではなくて、関数や微積分や多項式など、線形性と呼ばれる性質を満たす全てのものに適用することができる代数学の基本です。
「直線しか扱わないとか雑魚かよ」と思うかもしれませんが、小学生から高専5年までに学んできた数学に関しては、ほとんどが線形性を満たすものです。だからこれらは線形代数の理論の範疇です。
つまり、線形代数の理解なくして工学の理解はできないわけです。
重要ですね、うん。
( 数学初心者なので間違いがあればコメントで教えてくださいm(_ _)m )
編入試験問題としての線形代数
私は受験生のとき、正直線形代数は得意分野で、いつも得点源でした。
しかし同時に、「過去問特訓の範囲外から出題されたらどうしよう」と不安に思っていました。
私の高専では線形代数の授業がありましたが、ユニタリー空間(複素数の行列・ベクトル)やジョルダン標準形(対角化の一般化)はやっていませんでしたので、独学で勉強するか非常に悩みました。まあやりませんでしたが。笑
しかし同じような悩みを抱えた受験生がいらっしゃるのではないかと思い、今日はある本の書評を書きたいと思います。
それがこちら。
齋藤正彦の「線型代数入門」
構成としては、次のようになっています。
1章 平面及び空間のベクトル
2章 行列
3章 行列式
4章 線型空間
6章 単因子およびジョルダンの標準形
7章 ベクトルおよび行列の解析的取扱い
附録
1章
軽く読みました。
2章
こちらも軽く読みました。
行列の基本変形は、ある行列をかけることに相当するということが納得できます。特に、行基本変形は左からある行列をかけることに等しい。掃き出し法とはそういうことだったのか、と目からウロコでした。
3章 行列式
「行列式ってこんなに抽象的な議論が必要なのか...?」と驚きました。余因子展開やクラメルの公式が理解できます。
4章 線型空間
線形空間と基底について。この章で基底や基底の変換という考え方に慣れましょう。
5章 固有値と固有ベクトル
線形代数の理論の集大成とも呼ぶべき対角化。固有値・固有ベクトルに関しては、理論よりも直感的な理解の方が必要ではないかと、個人的には思います(私は工学系なので笑)。
正規変換のスペクトル分解という概念は初めて知りました。フーリエ変換の基礎理論でしょうね。ということは無限次元でも定義されるのか...
また、二次形式についても説明されています。あまり応用例が思いつきませんが...
6章 単因子およびジョルダンの標準形
飛ばしました。
7章 ベクトルおよび行列の解析的取扱い
行列の指数関数の重要性がわかります。あとはノルムや非負行列について。ノルムの理論なんかは数学っぽいですね。
所感
難しい!
私は数学書初心者なので、読むのに2, 3週間かかりました。
しかも演習問題が難しかった、、、。全然解けません。笑
齋藤正彦の「線型代数入門」は編入に必要か
結論:多くの人にとっては不要です。
色んな勉強方法があるので一概には言えませんが、私みたいな、受験勉強は効率重視と考えている人間にとっては不要です。ひたすら演習を繰り返したほうが効率は良いです。
ただ、中には演習よりも本質を学びたいという編入受験生もいるので、そういった人たちにはお勧めできます。
編入試験が終わったらみんな読もうね!!!